哲学部
人間の社会、文化、芸術、科学、技術はすべて哲学からはじまった。哲学は、だからいろんなことを教えてくれる。
News Stories

キュニコス学派に学ぶ、幸せになる方法

キュニコス派、アンティステネス

キュニコス学派は紀元前400年ごろ、ソクラテスの門下生のアンティステネス(前455~前360年ごろ)がはじめた。

キュニコス学派は、社会的地位や財力の価値を否定。たとえ権力を握ろうが、物質的にぜいたくになろうが、そんなことではひとは幸せにはなれないと主張した。

外面的なものと真の幸福とのあいだには関連性がないとした。健康であることさえ無関係だと信じていた。

本当の幸せは、無欲と無所有にある

キュニコス、というのは、ギリシア語で「犬のような」という意味。その名のとおり、彼らは社会的規範にとらわれず、無欲と無所有を信条とし、まさに「犬のような」人生を送ることを奨励していた。それが、本当の幸せなのだ、と。

思うに彼らは、カネや欲にまみれた俗世間や因習から身をひきはがすことで、精神的な自由が手に入る、といっていたのだと思う。

そういう自由――本物の幸せを手に入れたいなら、カネや地位や名誉、健康なんていう、運頼りのはかないものにはすがってはならない、と。病気を気に病む必要もない。病気も死もその人自身を苦しめることはない、と。

たしかにそれなら心の持ち方ひとつで手に入る。しかも、いったん手にしたら2度と失うこともないのだ。

というわけで、キュニコス派の代表的人物にならって、幸せを手に入れる方法を紹介しよう。

ディオゲネスに学ぶ、幸せになる方法

アンティステネスの弟子のディオゲネス(前400~前325年ごろ)、キュニコス学派でいちばんの有名人である。

禁欲生活と自給自足と無恥が信条で、因習から解放された自由生活の実践者だった。因習とは、その社会に古くから伝わっている風習のこと。そういうものを一切合切シカトして、恥を恥とも思わず、無欲な自足生活を送っていたわけだ。

彼の人生は、それはもう満ち足りたものだったという。

というわけで、本物の幸せをゲットする方法を挙げてみる。いまの自分ってあんま幸せじゃないかも、とか感じているなら、ぜひ実践してみてほしい。

  1. 樽に住む。
  2. 着の身着のまま(できれば1枚の布)。
  3. 持ち物は、ずだ袋と杖のみ。
  4. 公衆の面前でセックスする。
  5. 昼間、灯を持って「人間」を探す。

ディオゲネスとアレキサンダー大王最後の人間探しというのは、皮肉のきいたディオゲネス一流の遊びだ。たいまつを手に「人間はおらぬか」とかいいながら、街中を歩きまわっていたそうだけれど、これはおすすめしない。

職務質問ののち、交番に引っ張っていかれるのがオチだ。

でも、裸同然の風体で樽に住むという、質素というか、とっぴな暮らしぶりに、ときの為政者、アレキサンダー大王でさえ羨望のまなざしをそそいだそうだ。世界のすべてを手中におさめた彼だからこそ、それを手放すことでしか手に入らないなにかがあることを知っていたのだろう。

アレキサンダー大王はディオゲネスに、「なにか望みはありませんか。すぐかなえてさしあげますよ」と親切にいったけれど、「そこをどいてください。わたしが日陰になっている」とだけ答えたらしい。

もう脱帽するしかない。

つづく



40代前半。この年になると仕事でも私生活でもいろいろ思うところがあり、思索にくれるうちに頭がこんぐらがってきたから、ブログに思いのたけをつづって、ついでに問題を整理しようと思ったのが、当サイト開設のきっかけ。だから全部、日記みたいなもの。
Leave a Reply